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SUZUKI GSF1200 1997年モデル 1998年2月〜1998年8月


これは物凄いバイクでした。ゼファーも気に入って乗っていましたが、いわゆる「国産リッターバイク」に乗ったことがないということもあり、ここは一つ一番過激なものを買ってみようと思い、近くのアルテミスというお店を覗いてみたら走行5000kmくらいのとても程度の良いバンディット(日本向けはGSF1200ですが、欧州向けはBanditと呼ばれています)を発見。

この子については香港時代にカタログを眺めては、どうするとこんなに格好の悪いデザインができるんだろうと不思議でなりませんでしたが、600ccの車体に1200ccの凶暴なエンジンをろくに調節もしないで載せていまうという無責任な作りのため、普通に走り出してアクセル開けるだけで高々とフロントを持ち上げてしまうというバランスの悪さに惹かれて購入しました。乗ってみるとまさに吹き飛ばされるような加速感でした。とくに2速4000回転くらいから全開にすると、カタパルト発進というのはこのことだと思うくらいのパワーです。昔トライアルでウイリーを練習していたため、フロントを上げた状態でマシンをコントロールするのは出来なくもないので、簡単にウイリーするのが楽しくて、空いている道を見つけると、たまにウイリーしてました。

ところが、この子はあまりに凶暴なため、つい運転が乱暴になってしまい、命が惜しくなったのと、行動で乱暴な運転をするのは社会の迷惑となること、キャブの同調が今一になってきたことなどから、メカがシンプルで自分で整備できそうなSRに乗り換えました。3ヶ月程度・3500kmのお付き合いでしたが、忘れられない個性を持ったバイクでした。僕のバイク人生においてこの子ほど過激な加速をするバイクには会った事がありません。このモデルはほどなく生産中止となり、メーカーもこれ以降のモデルはマイルドな特性にしてしまったため、こんなバイクはもう二度と世に送り出されることはないでしょう。

油冷4ストDOHC4バルブ並列四気筒、総排気量1156cc、最大出力97馬力、最大トルク9.8kg、乾燥重量208kg、新車価格は79万8000円