「ツーリング」見出しへ

憧れの北海道ツーリング July 2001
この6月で4年程勤めた某外資系企業を退職し、次の会社に勤め始めるまで少しまとまった休暇を取ることになったので長距離ツーリングに出かけることにしました。まずはバイク乗りの間でお約束となっている北海道で旅立つことに。旅の道連れはヤマハのXJR1300、ブルーの2000モデルです。


初日
実は楽をしてバイクごと飛行機で行こうかと思ったのですが、飛行機は最低一週間以上前に予約しないといけないため、あきらめて自走していくことにしました。さすがに一日で北海道まで行くのは大変(途中でフェリーがあってこれが時間を食うのです)なので、青森で一泊することにしました。朝の6時に家をでて、東北自動車道をひた走り一路青森へ。僕は走り出すと殆ど休憩しないうえに道は空いていてバイクのパワーは有り余っているためにスピードメーターの針は140km/hより下を指すことは殆どなく、午後の1時半を過ぎたころには青森県に入っていました。
こんなことなら北海道まで一気に走ってしまえばよかったと思いつつも、予約してしまったので、ホテルへ。ホテルは洒落た温泉旅館にしたかったのですが、インターネットで青森+温泉で検索したらこれしかなかった(探し方が悪いとは思う)ので、鯵ヶ沢プリンスホテルにしました。ここは完全にゴルフ場で、クラブを持たない僕は完全に浮いていました。なんだかやたらと高い夕飯をホテルのレストランで食べてその日は早めにベッドに入りました。結局一日で800km近く走りましたが、さすがにリッターバイクだけあって楽チンでした。


二日目
早起きをして青森港へ。手続きを無事に済ませて朝7時に函館を目指してフェリーはゆっくりと港を離れました。せっかくだからと少し贅沢に一等客室をとったのでベッドで少し休んだり、BSのちゅらさんを見たりしているうちに函館に到着しました。ガソリンを満タンにして一路小樽を目指します。予定ではマイカル小樽の惨状を確認したあと小樽で泊まるはずだったのですが、思ったより早く着いてしまったのでいけるところまで行くことにしました。
最北端の稚内方面を目指して走り始めたのですが、なんとどこまで走っても温泉もホテルも全くありません。北海道は一部の観光地以外には宿泊施設があまりないことを認識していませんでした。日も暮れかけているにも拘わらず、それらしきものは一向に現れず、やっと見つけた温泉は立ち寄り専用で宿泊施設はありませんでした。途中でいくつか民宿を見つけましたがどこも予約以外は受けてくれず途方にくれつつ、すでに走行時間も8時間くらいに達し、ふらふらになりながらやっと一軒のホテルを見つけました。すがるような思いで空きを確認するとなんとその日に限って満室でした。打ちひしがれていたところに哀れに思った僕にフロントのおじさんが近辺の民宿マップを差し出してくれたので、いくつか電話をしたところ一軒、「素泊まりならOK」との許可がおり、本当に救われた気分でした。教訓、「北海道ツーリングは行き当たりばったりはいけない」。
安心して増毛ホテルの温泉に立ち寄り客として浸かりました。さすがに体がびしびしになっていたので温泉の暖かさが体に染み込んでいき、生き返ったところで増毛ホテルを後にし、民宿まではバイクで10分くらいなのであっさり宿に着き、チェックイン。といっても本当に民宿で4畳半一間で風呂もトイレも共同でした。でも本当にありがたかった。今回の旅行は退職金成金+いい歳のおじさんということもあって宿泊施設などは概してバブリー(死語かな)だったのでひときわシャビーで素敵な宿でした。夕飯は近くにおいしいおすし屋さんがあるということだったので行って見ると、うにがおいしいとのこと。うに好きのおじさんとしては食べないわけにはいかず、まずは握りをひとつ。これが最高においしくて、結局メインディッシュもうに丼にしました(3000円)がこれまでの人生で一番美味しいうにでした。お酒は地酒をいただきましたがこれもまたすばらしい味でした。一合注文したら壜ごと持ってきてくれて、「帰るときに減り具合を見て会計しますから適当に飲んでよし」と鷹揚な会計システムでした。こうして波乱にとんだ二日目は終わりました。それにしても美味しいうにでした。走行約500km。
三日目

朝早く目がさめたので朝食をパスして最北端の稚内、宗谷岬を目指して走り出しました。天気の方はまあまあだったのですが、途中から雨が降り始め、ついに本降りに。今回のツーリングで唯一の本降りとなりました。一旦とまって雨具に着替えて走り出しましたが、今度はガソリンに余裕がなくなってきました。日曜早朝である上に留萌から先は町らしい町は殆どなく雨中でのガス欠の恐怖にさらされながらきわどいところで給油をして走り続けました。稚内を回って宗谷岬が近づいてくるころ(10時くらい)になってようやく雨があがりました。宗谷岬についたころには自慢のピカピカだったXJRは泥の焼き付け塗装状態で虹色に焼けたチタンのエキパイも真っ黒になってしまいました。とりあえず目標のひとつだった日本最北端の地に到着したので記念写真をと思ったら猛烈な風でデジカメも手を離したらどこへいくか分からない状態だったので、あきらめかけたことろに新婚さんのカメラの撮影係りを頼まれ、お返しに一枚とってもらいました。という訳でその一枚が今回の全工程6000kmを突破するツーリングの中の唯一僕の写っている写真となったのでした。お昼に「最北端食堂」で「最北端ラーメン(シーフードが入っているだけのいまいちなラーメン、1300円)」を食べて宿泊地の網走に向かいます。
天気は一転して快晴となり北海道の美しい風景とオホーツクの青い海を楽しみながらXJRは快調に走り続け網走に無事到着。ホテルのフロントの人が非常に親切でバイクをシャッター着きのガレージに特別に停めさせてくれました。これで安心して寝られます。大きいホテルで食事もついていたのですが、味はいまいちで追加で3000円も出して注文したうにも全く期待はずれでした。やっぱり大きいホテルには限界があるのでしょう。教訓2。「大きいホテルの食事に期待してはいけない」。温泉はとても広くてサウナもあり、バイクに理解のあるマッサージのおばさんとバイク談義に盛り上がって三日目も無事終了。走行約500km。


四日目
ずっと海岸沿いを走ってきたので四日目は少し内陸を走りながら苫小牧を目指します。阿寒湖を抜けて久しぶりのワインディング・ロードへ。JXRの実力を発揮して風のように北海道の峠道を走り抜け釧路に到着。そろそろお昼にしようかと思っていたところに大きなかにの卸売り屋さんの看板を見つけました。小売もしているかも知れないと思い、入ってみると店内にちょっとだけテーブルがあり、その場で食べられるとのこと。3800円のゆでたてのたらばがにを食べてみたらそれがまた本当に美味しく、人生40年、かにがこんなに美味しいもんだとは知りませんでした。表現力のなさが悔やまれるばかりですが、実に思い出に残るかにでした。あのかに食べたさでまた初夏の北海道に行くに違いないと確信して釧路をあとにします。
フェリーの時間が遅いのですこし遠回りをすることにして森進一で有名になった「えりも岬」を目指しましたが、着いてみるとこれがまた凄い霧で3m前も見えないような状態でした。仕方がないので夕張メロンアイスを食べて岬を見れないまま後にしました。しばらく(といっても50kmくらいは走るのですが)行ってからレコードの湯とかいう意味不明な名前の温泉に浸かって目的地の苫小牧へ、港についてバイクを停めると隣に泊まったバイクはなんとモンキー50。思わず「これで北海道をツーリングしたんですか?」と聞いてしまいました。モンキーはせいぜい時速50kmくらいしか出ないので普通に時速80km-100kmくらいで流れている北海道はかなりつらかっただろうと思ったらやはり途中で壊れてしまい、レンタカーで回ったとのことでした。その隣に目をやると今度はスクーターのホンダ・リード100。同じ質問をしたところリストラにあったので職を探しに北海道にきたとのことでした。交通費を総合的に考えるとスクーター+フェリーが安いからというのが理由のようでした。手取り17万円の仕事は探せなかったとがっかりされておられました。なぜわざわざ北海道で職探しかとも思いましたが、さすがにばつが悪くなって待合室で一休み。フェリーは一等客室を借りたのでとても快適でテレビを見たり大浴場で海を見ながらお湯に浸かったり本を読んだりしながら呑気に20時間を過ごし、船は無事に大洗港に着きました。常磐道をゆっくり走って無事帰宅。総走行距離2250kmに及ぶ北海道ツーリングは捕まることも事故ることもなく無事に終わったのでした。今度はBMWで行こうっと。