この子は友人から譲り受けたために少し乗っていたバイクですが、当時やっとの思いで取得した大型免許を持っていたために、あえて400に乗る必要が無かったことや、無理して馬力を出しているために中低速トルクが薄かったことなどから比較的早く手放してしまいました。当時は今のように誰でも教習所で大型免許が取れるという時代でなかったため、400ccクラスはそのマーケットが大きく、各メーカーが最先端技術を競い合う主戦場でした（新しいエンジンの開発もしてもらえない今の400ccクラスの惨状からすると嘘のようです）。1981年には、TSCC（複合渦流式燃焼室）を採用した4気筒DOHC4バルブエンジン、アンチノーズダイブフォークなど、当時の先端技術が投入されたGSX400Fが発売され、翌1982年に、GSX400Fのスペシャルモデルとして、ヨシムラと共同開発の4into1サイクロンマフラーを装備して発売されたのが、この初代「インパルス」がでした。
当時にしては確かに画期的で、サイレンサー部分が太くなっている集合管などは新鮮でした。ただシングルシート風にみせるためにリアシート部分が厚くなっているところなどはちょっと中途半端で、ハンドルの位置も随分と高いところにありましたね。過渡期のマシンと言えるかも知れません。何れにしても当時の400ccクラスにかけるメーカーの意気込みが感じられる一台でした。この子は改造用のRZの下取りとしてレッドバロン府中店に貰われていきました。
空冷４ストDOHC4バルブ並列四気筒、総排気量399cc、最大出力48馬力、最大トルク3.5kg、乾燥重量171kg、新車価格は49万3000円