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回想録2 エレクトロニックスの胎動 平成17年6月


私が弱電関係の専門誌の編集記者になった昭和24年(1949年)から1953年頃の期間は、世界のエレクトロニックスの胎動が始まった年です。それを誘発したのは以下ようなことでした。

1)LPレコードの誕生
2)民間放送の開始
3)アマチュアー無線の解禁
4)磁気録音再生技術の芽生え
5)テレビの放送開始の準備
6)トランジスターの実用化への研究促進


これらのテーマーはどれ一つとっても産業発展の大きな起爆剤としての力を持っておりました。これは飽くまでもエレクトロニックスの一部であり、その他の、基幹産業もこの時期戦後の深い傷が癒えない中で、一斉に武士道が蘇った様な、奇跡的な力で復興を始めました。 自動車、船舶、製鉄、鉄道、道路と枚挙の暇がありません。この欄は原則として弱電部門の話題を「つー爺」の経験等を中心に話を進めていきます。


上記、6項目うち、今回はLPレコードとその関連機器について話をすすめます。 1877年にエジソンが蝋管式の蓄音機を発明した事は余りにも有名です。

写真左上は1878年に量産販売されたエジソンの蓄音機です。 1895年にベルリナーが円盤式のレコードを発明しました。当時の回転数は78rpmが標準でした。そして戦後まもなくアメリカのコロンビヤからLPレコードが発売されたのです。33.1/3rpmのレコードは音質が極めて良く、実演と間違えるほどでした。そして再生時間が飛躍的に伸びました。1949年にはRCAから45rpmのドーナツ盤が、更にEP盤(extennded plaing)が発表され、録音時間も片面で7分以上にのびました。


音源であるレコードの品質の飛躍的向上は、その再生機器のイノベーションを促進させました。主なものは、ターンテーブル、ピックアップ、アンプ、スピーカーシステムで、写真右上は、松下電器のターンテーブル、左は3w*2の真空管式メインアンプ、右はコーラルのスピーカーシステムで、今日のコンポと比べるとかなり大きな設備でした。この頃からHi-Fi AUDIOと言う言葉が一般的になり、雑誌記者だった私はカメラを抱えて東奔西走の毎日でした。有名なオーディオマニアを尋ね、写真を撮ったり、記事をお願いに上がりました。古賀 政男先生のご自宅を訪ね、親しくお話を聞いた事もあります。写真左下は「つ−爺」の手許に残っている懐かしいLPレコードで東芝の「Odeon records」の赤盤です。