最近は、歳をとったせいか、峠でバイクを傾けてレーサー気分で走るような乗り方はすっかり影を潜めましてもっぱらツーリングおじさんとなっています。若い頃、そう25年から20年くらい前までは世の中でもっとも格好悪いバイクはツアラーだと思っていましたし、ハーレーにしてもツアラー系(おまわりさんが乗るような奴)に乗るくらいなら乗らない方が良いと真剣に思っていたものです。
ところが、今はパニアケースに荷物を放り込んでのんびり高速道路を延々走るという乗り方が気に入っていて、新潟の温泉に行ったり、小名浜の御鮨屋さんに行ったりといった乗り方が中心です。このまま行くとアメリカのおまわりさんの格好してハーレーに乗り始めるかも知れない。ちなみに50歳になったらゴールドウイング買う予定です。(と、ここまで書いたら釧路のかにがまた食べたくなってきた。夏になったらまた北海道行こう)
という訳でツアラーがお気に入りな訳ですが、ツアラーといえばなんと言ってもBMWであります。特に高速で長時間移動する場合は比類なき実力を発揮します。
では1150RTについて気に入っている点を述べてみます。
-
アクセルが軽い。
-
燃料噴射式と言うこともあってアクセルがとても軽く、純正のグリップヒーターもノーマルと太さが変わらず(グリップの太さというのは実に重要であります)、配線も目立たずとても快適です。
-
ポジションが快適。
-
実に自然なポジションで長時間走っても体のどこにも負担がかかりません。シートの高さも工具なしで簡単に調整できるところも優れもの。
-
直進安定性が良い。
-
さすが最新型。200キロ出してもびくともしません。高速コーナーにおける安定性も文句なし。その上あの巨体のくせに小回りも実にスムース。
-
ブレーキの効きが素晴らしい。
-
1150RTにはフルインテグラルABSというブレーキが付いてまして、ブレーキは前でも後ろでも片方かけるだけでばっちり効きます。その上このブレーキには車のパワステみたいにモーターのアシストがついていて軽い力で強力に効きます。パニックブレーキには絶大な効果を発揮します。
-
計器類が充実している。
-
通常のメーター類以外に燃料計やギヤポジション、オイルの温度など情報が多く便利です。
-
航続距離が長い。
-
ガソリンが26リットルも入るので、無給油で400キロは走れます。
-
加速が良い。
-
さすが1150cc。 95馬力にトルクも10キロ以上あるので装備で300キロにもなる巨体を軽々と引っ張ります。GSF1200のようなアクセルウイリーや吹き飛ばされるような加速はないけれど、ツアラーとしては十分でしょう。
-
風の整流効果が素晴らしい。
-
電動で高さを調節できるスクリーンがついているため、どの速度でも頭の先から足の先まで直接風が当たることはなく、疲労も非常に少なくなっています。メーターみてないとすぐ160kmくらいになってしまうので、覆面君には要注意。風を感じたくなったらスクリーンを下げれば気分はネイキッドです。また、このカウルは雨天時の効果も抜群で多少の雨ならカッパいらずです。
-
デザインが良い。
-
初期型のRTは顔とフロントフェンダーが嫌いだったのですが、今回のモデルチェンジでまさに理想の形となりました。なかなか格好良い。
-
距離計が機械式
-
最新型なのにドラム式(文字盤が回転するやつ)なのは実にありがたい。やっぱりオドメーターはドラム式じゃないと。最近のバイクはデジタルばかりでつまらない。ハーレーですらデジタル式で、交換しようとも思ったのですが、フレームまで違うのでできませんでした。その点、Kawasakiは評価できます。
不満な点
利点に比べると不満はあまり無いのですが、敢えてあげますと以下の点には改善の余地があると思います。
-
オーディオの販売が遅かった
-
折角ラジオがつくように専用の設置場所やスピーカー、アンテナまで標準装備なのに日本使用の物が5年くらい発売されず、テープ式のラジカセが発売されるまでにとても時間がかかりました。やはりこういうものは発売字に用意すべきなのではないでしょうか。
-
リアブレーキが効き過ぎ
-
足だとどうしても力が入りがちで、ちょっと効き過ぎ。これはさすがに設計ミスでしょう(後のモデルでは改善されたとのこと)。後ろは前後連動にしなくても良いのでは。
-
ガソリンを満タンにしにくい
-
これは結構不満です。一般的な満タン状態から二リットルくらい入りますが、入れるのにとても手間と時間がかかります。タンクが大きいからそこまでやらなくても良いのですが、そうすると満タンにしても燃料系がフルにならないのでなんとなく気持ちが悪いのであります。
-
エンジンの味が今ひとつ
-
バイクの醍醐味はなんといっても官能的なエンジンフィーリングですが、ツアラーのために敢えてそうした部分もあるとはいえ、もう少し艶かしさが欲しいところです。
-
重い
-
さすがに装備で300kgは辛い。走り出してしまえば平気なのですが、取り回しや低速時、混雑時、二人乗り時はとても神経を使います。
いろいろ書きましたが、ともかく高速ツアラーとしてのBMWは日本車ではおいそれとは到達できない領域に達していることは認めざるを得ません。本当に良く作られています。なお、この子は二年半で2万キロ乗ったところで、下取りに出してシルバーウイングに乗り換えました。RTでは北海道二回、九州一回、それから新潟も長野も、もちろん小名浜の御鮨屋さんも何度も行き、まさに日本中走りました。一日で900km近く走った記録を作ったのもこの子です。二万キロの間、事故は勿論、立ちゴケも、違反で捕まることもただの一度もありませんでした。RTくん、安全に快適に運んでくれてありがとう。思い出も沢山できました。
|